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自閉スペクトラム症/ASDとは?【発達障害/自閉症スペクトラム障害/広汎性発達障害/アスペルガー症候群】

2024/09/17

レデックス五藤先生の発達の困りごとコラム

自閉スペクトラム症/ASDとは?【発達障害/自閉症スペクトラム障害/広汎性発達障害/アスペルガー症候群】

みなさんこんにちは!
はぐめいとでは放課後等デイサービスや児童発達支援を運営している事業者様に向けて様々な情報を発信しています!


今回はYouTubeのレデックスチャンネルの中で『発達の困りとは?|(4)自閉スペクトラム症/ASDとは…?【発達障害/神経発達症/自閉症スペクトラム障害/広汎性発達障害/アスペルガー(Asperger)症候群】』として、教育や学習支援をデジタルコンテンツで支えるレデックス認知研究所所長であり、レデックス株式会社の代表取締役 五藤博義様にわかりやすく解説いただきましたので、その内容をご紹介します。

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自閉スペクトラム症/ASDとは…?

スペクトラムとは、「連続体」(グラデーション)の意味です。

 Autism Spectrum Disorder(ASD)
(自閉症)(連続体)(症/障害)

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害は基本的に同じ症状を指します。DSM-5-TR(注1)では診断名は「自閉スペクトラム症」に統一されています。ICD(国際疾病分類第11版(ICD-11)でも「~障害」から「~症」という日本語の表記に統一されつつあるのが時代の流れのようです。

これまでは…

 言語発達の遅れなし(言葉の遅れは軽度~年齢相応) 
・広汎性発達障害
・アスペルガー障害(症候群)
・高機能自閉症

 

 言語発達の遅れ(+知的発達の遅れを含む) 
・自閉性障害  
・カナー症候群


新しい診断基準では 、上記の2つの特徴が1つになりました。

自閉スペクトラム症(ASD) 


様々な呼び名が混在し複雑な印象がありましたが、DSM-5(注1)以降は、上記の2つの特徴が1つになり「スペクトラム(連続体)」という広い概念で考えられるようになりました。

(注1)米国精神医学会(APA)の診断分類です。2013年に「DSM-5」が刊行され、2022年に「DSM-5-TR」として改定されました(邦訳は2023年)

 ASDの誤解 

生活することが、特徴によって本人が困っているかがポイントになります。

特徴(特性)がある ≠障害がある 

※「自閉スペクトラム」は診断名でなく特性の一種と捉えられています。

詳しくは、こちらの記事もご覧ください。
▶▶発達の困りとは?【発達障害/神経発達症/発達/LD/ADHD/ASD】

ASDの特徴

 特徴 1. コミュニケーションの苦手さ 
・非言語情報の読み取りが苦手
・他者の非言語コミュニケーションがわからない


ASDのコミュニケーションの特徴としては、自分の話ばかりしてしまう、相手の気持ちや立場が理解しにいくことがあります。自分の気持ちを言葉にして相手に伝えることが苦手な人もいます。また初めての人や場所が極端に苦手で、不安に感じる人もいるようです。
 

 非言語的情報:非言語コミュニケーションとは 
表情、目線、しぐさ、距離感、相槌、身振り(ジェスチャー)など
※ 声のトーン(高さ)や大きさ、口調など音声面の情報も周辺言語と呼ばれ、コミュニケーション上で大事な情報です。


KY(空気が読めない)という言葉があるように、ASDの特徴は、非言語的な情報が読み取りにくく、非言語によるコミュニケーションも不得意なことが多いという共通点をもっています。

言語コミュニケーションでも、「冗談」「皮肉」「お世辞」といった間接表現や暗黙の了解の理解が苦手です。
日本語のコミュニケーションでは、特に言葉にしなくても同じ文化や習慣、ルールを理解して行動することが好まれます。
ASDの人は言葉の裏にある意図の読み取りが難しいため、言葉通り(字義通り)解釈してしまいコミュニケーションにずれが生じることもあります。

”コミュニケーション”と“言語”は別々に考えた方が整理しやすくなります。

 言語に課題があると 
☑ 語彙が乏しい
☑ 単語が出てこない
☑ 文法がうまく使えない
 (助詞「てにをは」や接続詞、形容詞や動詞の活用、態など)


→このようなことから、「説明させると、内容がよくわからない」ことがおこります。

 コミュニケーションに課題があると 
☑ 相手に合わせた会話が難しい(一方的に話す、マニアックな内容など)
☑ 独特のイントネーション、言葉使い
☑ 要点をまとめられない


→このようなことから、「説明させると、話が嚙み合わない」ことがおこります。

 

自閉スペクトラム症/ASDとは?【発達障害/自閉症スペクトラム障害/広汎性発達障害/アスペルガー症候群】

 特徴 2. 常同行動が認められる 
常同行動とは、同じ行動や動作など、無意味と思われるような動きを何度も繰り返し続けること

 

代表的な常同行動
・手や体を叩く、ジャンプする
・スイッチやドアの開閉、ルーティンの行動
・回るもの、水遊び
・独り言を繰り返す(歌やCMのフレーズなども)


共通することは、どうしてもそのやり方から脱却できないことです。生活をする中での常同行動は
・奇異な目で見られたり、迷惑につながることもある
・不安やストレス
・パニックやかんしゃく
など、生活の中で支障を生むことになります。
 

特徴 3. その他の要素
・3歳以前から現れる
・ASDは比率が多い
・他者の感情に共感しにくい
・自分の興味以外のことに注意が向きにくい


ASDは、非常に早期から特徴が出る点で、他の障害とは少し異なります。
ASDの人は、40年前は「1万人に数人」、20年前には「1万人に20人」と言われていましたが、診断基準が変更されたことや社会的な認知の高まりもあり、今は診断を受ける人が増えています。

「他の人の感情に同感できない」、他の人が注意を向けていることに対して「注意を振り向けることができない」

このようなことから、他の人と一緒の活動をすることが難しく、「集団活動に参加できない」など保育園や幼稚園に入り始めて指摘されることも多いです。
 

乳幼児期のASD
・抱かれるのを嫌がる、偏食がある(感覚の過敏)
・呼んでも振り向かない、ケガをしても痛がらない(感覚の低反応)
・睡眠が安定しない
・視線が合いにくい・笑いかけても反応しない
・一緒に注目しない、指さしをしない、発語が遅い
・おもちゃで遊べない(並べる、回す、握る、投げる等になる)

「育てにくい」または「手がかからず育てやすい」
 → 極端な乳児期


このようなことから、親は情緒的な親子間のやりとりが築きにくく、子育てに対して自信がもてなくなることもあります。

ASDの困りとは

困りごと (1) 【 コミュニケーションの困難 】


コミュニケーションの問題で重要な点は、言葉以外の情報が活用できないことです。
人の顔色であったり、反語的に使われるような言葉の意味が分からないので、他者の意図していることを掴むことができないことが生活の中で非常に困る点です。

対人関係では、特に同じ年代の人とのコミュニケーションが苦手です。
教室での友達との雑談や休み時間にどうしたらいいか、悩む人も多いです。意図が読み取れず相手を怒らせたり、場違いな発言をしたりすることがあります。

 例 

自閉スペクトラム症/ASDとは?【発達障害/自閉症スペクトラム障害/広汎性発達障害/アスペルガー症候群】

困りごと (2) 【 感覚の困り 】


自閉スペクトラム症の人の訴える「感覚の困り」には以下のようなものがあります。

・『音』:衝撃的な音
・『光』:強い光
・『匂い』:洗剤の匂いなど、特定の匂い
・『味』:特定の味や食感・温度

本人はあまり気付いていなくても、特定の感覚が気になり活動に参加できないことがあります。
・砂場で遊べない
・集会に参加できない(ざわざわした場所が不快)
・粘土や糊などの材料に触れない 等
大多数の人にとってあまり気にならないことで、「行動できない」、「物が扱えない」といった困りを抱えており、生活しにくくなる場合があります。

困りごと (3) 【 運動の不器用さ 】


行動や体の動かし方は、他の人の動きを見て、真似することでできるようになりますが、ASDの人にとって模倣が苦手なことも不器用さの要因の一つと考えられています。
ASDの特徴として、非常に細かい点に気づきますが、全体をとらえることが苦手な傾向があります。

 学校生活における不器用さの困りの例 
書く作業や道具の操作を伴うもの 
 ノートや板書、音楽のリコーダー、コンパスや定規などの文房具、図工で使う道具の操作
球技や運動(体育)
 ドッチボールやサッカー、体操やダンスなど

自閉スペクトラム症/ASDの長所&有名人

【ASDの強みが活きる職業】
ASDの人は、「1つのことをとことんやり続けることができる」という強みがあります。

・好きなことへの探求心
・強いこだわり
・記憶力
・ルールや規律を重んじる
・細かな違いに気づける


そのことだけに集中して取り組むことで、いろいろな資格を取ったり、何かに特化したり、自分の好きなことをとことん研究することができます。
このため、以下のような職業に多くいます。

・医師
・法律家
・学者・研究者
・プログラマー

まとめ

自閉症スペクトラム障害は「自閉スペクトラム症」(ASD)という診断名になりました。
言語発達に遅れのないアスペルガー症候群も、知的遅れを伴う自閉症も同じスペクトラムという連続体の一部と捉えられるようになり、現在は同じ「自閉スペクトラム症(ASD)」に分類されています。

ASDの特徴として、非言語的な情報を読み取ることが苦手で、コミュニケーションの困難を来します。また自分の興味以外のことに注意が向きにくく、興味・関心の偏りや感覚や不器用さの問題から、集団活動に参加することが難しいといった行動特徴を示します。
特に「感覚の困り」や「常同行動」は生活に支障がでることもあります。

ASDは非常に早期から特徴が現れるため、幼児期の段階で診断が出ることもありますが、自閉スペクトラムの傾向があっても診断が必ずしも出るとは限りません。
1つのことを、とことんやり続ける、こだわりを持って仕事をこなすといった特徴から、社会で自閉スペクトラムの特性や能力を発揮して活躍できる人もいます。

※ レデックスチャンネルでは、医学用語や学術用語等の専門用語として「障害」を漢字表記に統一しています。

さいごに

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052-990-0322
受付時間:9:00~18:00(土日休み)

五藤博義先生の紹介

こどもの認知機能の発達を検査・訓練するコンテンツでこどもの発達を支援
レデックス認知研究所 代表・レデックス株式会社代表取締役 五藤 博義(ごとう ひろよし)

■講師プロフィール
東京大学教育学部卒業、ベネッセ等で30年以上教育の研究開発に従事。川崎市の小中学校教師との作文教材の研究で松下教育研究財団森戸賞を受賞。
埼玉県特別支援教育研究会での研修、東京都中央区での教員研修など、 年間10数回、発達障害に関する講演、セミナーを担当している。

■レデックス株式会社
LEDEX株式会社は、「Learn=学ぶ」「Design=デザインする」「Experiment=試してみる、やってみる」の頭文字【LEDEX】が社名。「学び、デザインし、試してみる」そんなこども達を応援している会社です。

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