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【前編】ICTアセスメントをしよう!【一般社団法人チャイルドライフ様】

2023/03/08

放課後等デイサービス事例インタビュー

【前編】ICTアセスメントをしよう!【一般社団法人チャイルドライフ様】

東京都八王子市を中心に放課後等デイサービスを運営する一般社団法人チャイルドライフ様にお話を伺いました。

一般社団法人チャイルドライフ庄司様は、放課後等デイサービス『ベルテール』のほかに学童保育施設やサッカースクールを運営し、教育研修事業なども手掛けられ、今回は協同組合も設立されました。幅広い活動の経緯やご苦労、今後の目標について詳しくお話を聞くことができました。

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>>【後編】想いを大きな一つにして発信するには協同組合【一般社団法人チャイルドライフ様】

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「どこでも放デイはできる」と全国13施設を運営

インタビュアー(以下:イ)施設の概要や利用状況などを教えてください。

庄司様(以下:庄司)一般社団法人チャイルドライフ 庄司です。

チャイルドライフは、2011年の9月に法人を設立し、今年で12年目です。

事業内容は、学童保育と通所支援の運営、そしてサッカースクールの運営です。
教育事業も手掛けており、地域のコミュニティビジネスとして認知されるような事業展開を行っています。

従業員は(2023年2月1日現在)、正職員が73名(育休4名含む)、パート37名、契約5名、嘱託1名、時短2名、アルバイト12名の会社です。
2011年に株式会社として学童保育を開設しましたが、株式会社では行政のハードルが高いと判断し、非営利法人の一般社団法人チャイルドライフを設立しました。 

チャイルドライフでは、みんなが夢を追うことができるようにと理念を策定しています。

ミッション(使命)は、「日々の療育の中で最善を尽くすこと」ですが、今よりも更に上を目指し、子どもたちに何が提供できるのかを常に考えています。

八王子市の会社が、どうして高知県に?

【前編】ICTアセスメントをしよう!【一般社団法人チャイルドライフ様】

イ)学童保育施設を運営されていたのに放デイを始められたきっかけなど理由を教えてください。

庄司)一般社団法人設立後に放課後等デイサービスを開設しました。それも高知県です。高知県庁の方にも「八王子市の会社が、どうして高知県に?」と言われましたが、「本部機能があれば、どんなところでも同じ質とサービスを提供できる」という考え方を持っていたので、予定通りに高知県須崎市に開設しました。

そして、次に始めた放デイが、八王子「みなみ野園」です。その後は千葉県木更津市の「つばめ園」と広げていき、現在八王子市では分園、分園で7か所の放課後等デイサービスを運営しています。
特別新しい場所に施設を出した訳ではなく、 必然的に八王子市内で7施設。結果、全国13施設を運営しています。 

イ)最初に高知を選んだ理由は?

庄司)高知を選んだ理由は、私が元々医療に携わっていた関係です。高知の須崎くろしお病院と懇意にさせてもらっていて、病院のリハビリに障がいのある子どもたちが100人ぐらい通っているという話を聞きました。
そこの院長と話すうちに、病院と連携して放デイを作ることを提案し、病院側もぜひ作って欲しいとのことだったため高知県須崎市に開設しました。

行政側から見ると、「八王子の会社、それも放デイを初めて開設する会社が、なぜ高知なんですか。」とすごく嫌な顔をされた覚えがあります。
しかし、くろしお病院の先生方も一緒に説明してくれたことで認可がおりました。

現在13施設運営できているのは、当時の経験があるからです。当時はZOOMもなかったため、ネットなどを使って管理を行い、運営を始めました。 
八王子の本部機能により、高知県や須崎市と交渉しながら、運営に取り組んできました。

最初にスタートした高知県の放デイが、私どもの法人の1つの方向性を示すものになったと思っています。「どこでも放デイはできる」という自信になりましたね。

その時に可能性を感じたから、八王子だけでなく、富士吉田や千葉へ広げていけました。本来であればもう少し開設したかったのですが、職員の育成を優先しているので、新しい児童発達支援管理責任者がいないうちに施設を開所することはありません。だから店舗展開はゆっくりですが、安定した施設運営ができています。

障がい者のサッカーチーム「FCベルテール レーヴ」を設立

【前編】ICTアセスメントをしよう!【一般社団法人チャイルドライフ様】

庄司)学童保育をやっていると、「スポーツをやりたい」という子どもたちが多いため、2014年4月にサッカーチームを作りました。
サッカーチームは、小学生チーム、中学生チーム、障がい者チームの3チームを運営していて、現在の生徒数は約160人です。

小中学生チームが成長し、地域でも優勝できるほどになると、放デイの子どもたちも「サッカーにもっと参加したい」という声が上がってきました。そのため、昨年障がい者のサッカーチーム「FCベルテール レーヴ」を設立しました。

私どもの理念にあるように、「コラボしてシナジーを上げていく」という考え方から、サッカーと放デイがコラボした専門的な放デイ「台町園」を作りました。

感覚統合(注1)に適した運動療育としてサッカーを行い、シナジー(複数のものがお互いに作用し合い、効果や機能を高めること)が上がると考えてのことです。

職員が考えて行っている、障がいのある子どものスポーツや文化活動を支援し、やりたい事をかなえられる環境を提供する「夢」プロジェクトがあります。

その中で、「障がい者のサッカーチームを応援しましょう。」があり、ベルテール レーヴは、第23回東京都障害者スポーツ大会で優勝しました。また、夢コンテストという形で、子どもたちの絵画を表彰しています。

(注1)感覚統合療法は、アメリカの作業療法士のエアーズ(Ayres,A.J.)が考案したLD や自閉症を含めた発達障がいのある子等へのリハビリテーションの一つです。感覚統合療法では、子どもの学習、行動、情緒あるいは社会的発達を脳における感覚間の統合という視点で分析し、治療的介入を行います。

【前編】ICTアセスメントをしよう!【一般社団法人チャイルドライフ様】

地域に密着したセミナーを啓発目的で開催

庄司)教育研修事業は、地域啓発を目的の1つとして運営しています。 
福祉施設は、地域の人たちに認められないこともありますが、放課後等デイサービス事業の認知を得るためにも、「地域に密着したセミナーを啓発目的で開いていこう」と毎月1回以上のセミナーを開催しています。

著名な先生方や大学の教授らが参加されており、北信がんプロ(注2)の先生方もサポートさせていただいています。
コロナ禍では海外研修ができませんので、チャイルドライフの本部を中継点に、イギリスのドロシーハウス(緩和ケア施設)と、がんプロの施設(石川県立看護大学の5大学)を繋いだオンラインセミナーを行いました。

医学福祉に対しても幅広い形でセミナーを開催しています。
今はコロナ禍で実現していませんが、ノースカロライナTEACCH研修(注3)の海外研修も行っています。

(注2)文部科学省が「がん医療の担い手となる高度な知識・技術を持つがん専門医師及びがんに携わるコメディカル等、がんに特化した医療人の養成を行うための大学の優れた取り組みを支援する」目的で2007年度から創設した計画が「がんプロフェッショナル養成プラン」。北陸の4医科系大学 (金沢医科大学、富山大学、福井大学、金沢大学) と石川県立看護大学の5大学が共同実施体制を組織しています。また、北陸3県の全てのがん診療連携拠点病院が連携施設として加わることにより、北陸3県のがん医療を担っている大多数の医療人が、この組織の中で「がん医療のプロフェッショナル養成」および「地域のがん医療向上」のために協力できる体制を築いています。

(注3)臨床的に最も成功している自閉症児(者)のためのプログラムとして、今や世界各国で取り組まれ、広く認知されているTEACCHプログラムを発祥の地である本場ノースカロライナ州のTEACCHセンターで受講。

YouTube動画【ベルテールちゃんねる】を毎週配信

イ)職員は若い方が多いですね。

庄司)すごく若くて半分が20代です。採用は苦しい状況が続いていますが、職員不足などはないです。
新卒採用についても特別なことはしていませんが、毎年約4人の新卒採用をしています。

今年4月には4人の新卒を採用しました。うち1人は大学院生で公認心理士師になり、2人は教員の資格があり、残り1人は保育士です。

新入社員が辞めずに指導員として育っている事が、会社の安定した経営と更なる可能性を広げると思っています。

充実した教育制度と資格取得制度もあります。完全週休2日制であり、有給は2時間単位で取れる環境を作り、残業も少ないです。
有給取得率も70%以上で、希望する有給は基本的に取れる状況にあります。

毎月のヘルスチェックの実施と年1回のメンタルヘルスチェックを業者に頼んで行っています。
パワハラなどの問題が起こらないように法人として、すべての職員に理解が進むように実施しています。

現在、職員は118名(パート含む)、年齢層は20代が約41%、30代が25%、40代・50代が残りです。若い世代が増えているため、当然活気が出てきますね。

事務作業もシステム(ガルーン・キントーン)を導入しており、情報共有がスムーズになりました。社内では、FAXをできるだけ使わない方針のためペーパーレスで楽になってきました。

デジタル化も進み、YouTubeによる療育やライブ療育などが行われています。職員が作成するYouTube「ベルテールちゃんねる」などもあります。

代替支援では、動画を使った療育を行っています。複数の事業所をネットで繋いで行うライブ療育を行い、事業所ごとの交流を図り、福祉でのDX化を推進しています。

ICTを活用したアセスメントを導入

イ)すごい動画の数ですね。働きやすい環境作り、若い方の採用が増えてきた中でのアイデアなんですね。
法人内で「療育を考える」「施設作りを考える」際に、トップダウンで考えが降りるより、アイデアを出し合っている形なのでしょうか?

庄司)トップダウンのケースは、経営方針などです。その1つが「ICT療育」です。今期の方針は「ICT(注4)アセスメントをしましょう」です。

今までのアセスメントのやり方は、多くは職員が話し合って決めていく形で、保護者の意見も必ず聞いてから作成します。
しかし、「情報が多くある事」と「継続的に行う事」と「過去の情報ログが取れる事」が重要だと思っています。

そこで「ICTアセスメントを行うためにシステムを導入しましょう。」と考え、脳バランサーズキッズ、ライフスキルトレーニングを導入してアセスメントに活かしています。

それには「WISC(ウィスク注5)を理解し、正確にアセスメントができる」ようにと、専門職員でカンファレンスチームを発足しました。

毎月1回ICTアセスメントの勉強会をやっています。WISCの最新情報、ライブスキルトレーニングとの関連性などです。

システムのデータがWISCと相関するものは、ある程度過去のログも含めて説明できるようにしなければなりません。「1年前はこうでした。今はこのようになっています。今後の目指す所はこうなります。」というように個別支援計画が作成できます。

このような経営方針のトップダウンはありますが、各園の療育の内容についてのトップダウンはありません。

ベルテールの基本的な考えは、「職員は子どもが好き」「子どもの才能能力を引き出し、伸ばす」「安全を徹底する」という、基本ルールだけです。

各職員は、自分たちで考え、特色を持った療育を行い、セミナーで学んだことを現場に生かしています。学んだことをどう発揮できるか、チームの中で醸成していくかですね。

(注4)ICT(アイシーティー)とは、「Information and Communication Technology」の略称です。日本語では、「情報通信技術」と訳され、コンピュータを単独で使うだけでなく、ネットワークを活用して情報や知識を共有することも含めた幅広い言葉です。

(注5)WISC:発達検査の方法。現在「WISC-V」ファイブが一番新しい検査になります。

システム化した目的の1つが連絡帳

イ)子どもたちを支援するにあたっての困り事を把握するためにICTを利用する訳ですね。

庄司) そうです。私がHUGを導入した理由でもあります。
実地調査があった時に、絶対に無理だと思ったのです。日にちの整合性がまず取れない。職員は一生懸命やっているのに記録に残すことが全くできていない。そのために、何が必要で、何がメモなのか、何に対して時間をかける必要があるのかを理解していない訳です。

「連絡帳」という言葉が残っていますが、一般的に連絡帳は、保護者との交換日記みたいなものです。

当時の職員は、療育が終わっても連絡帳を長い時間を掛けて書いていました。書くだけでなくて電話でも、それなのに家に帰ってまた書いている…。それって何の意味があるのか?実地調査に全く意味がないものなのに。

連絡帳は、あくまでもメモであって原資料じゃない。
個別支援計画書に則った形でサービス提供記録をきちんと取って、それが原資料になるわけです。サービス提供記録が重要で、連絡帳は時間を掛けて記載するものではありません。

しかし、それを現場に理解させるのが難しかった。だからシステム化した目的の1つは、この対策です。

HUGの活動記録で療育の写真をアップしてコメントを入れる。それを活用して個別支援計画書のアセスメントに則った形のサービス提供記録となります。

イ)計画目的に沿ってですね。

庄司) そうです。コンプライアンス経営を行うためにシステムを導入する必要がありました。HUGを決める時に、他にいいシステムがなかったのも実情です。介護系のシステムは結構あったのに、障がい者向けのシステムは展示会に行ってもなかった。

そのとき、行政書士の小澤先生の勉強会でHUGの紹介があり「あ、これだ!」と思ってすぐ連絡してHUGを導入した経緯があります。

今では全国13施設と相談支援事業所で使っています。請求業務は八王子の本部職員が1人で1日で業務は終了します。

あとは上限管理の作業だけになります。過誤請求もほとんどないですね。月に1件か2件程度、それも行政側のミスによるものがあります。

請求業務もすごく簡単に正しくできます。導入前は、よく間違いがあって国保連から入金されない訳ですよ。お金が入らないって、経営的には大変な訳ですが、今はそういうことは全くないです。

現在、職員も「連絡帳」という概念はなくなったので、保護者と連絡帳で文章を交わすことはないです。連絡は、活動記録のメール機能により連絡するようになりました。健全な運用だと思います。

ICT化の中で情報共有の基幹システムがHUG

イ)いわゆるICT化の中でHUGを選んでいただいたわけですね。療育に話は戻りますが、複数の施設間でミーティングやアセスメントもありますか?

庄司)ミーティングはコンプライアンス上、必要だと思います。
私たちの経営方針の1つである「法令順守」には情報共有が重要で、その基幹となるのがHUGです。

HUGの活動記録は他の事業所職員も確認できるようにしています。
情報共有として非常に重要であり、日々、生の情報が確認できることで利用者対応や療育の質が向上することがICT化の効果だと思います。

各事業所の職員は療育プロジェクトチームのメンバーとして、療育の改善を行い、コミュニケーションを図っています。

様々なシステムを活用していますが、すべてはコンプライアンスに繋がっていくという考え方です。それだけでなく、生産性も大きく向上しています。

保護者の捺印は今までハンコをもらっていましたが、現在、電子サイン・電子保管の運用を開始しています。HUGのマイページより電子サインをお願いしているのは、サービス提供記録票・個別支援計画(原案)・個別支援計画・モニタリングです。

ペーパレスによって13施設分で年間11,700枚の紙が削減できます。「CO2の排出量が約81.9kgの削減になり、環境への負担がなくなります。」と保護者へ活動記録のメール機能でお知らせすると、保護者の反応がすごく良くて積極的に協力してくれました。

HUGの活動記録は、セキュリティ上も問題なく、情報を的確に伝えることができます。
HUGを導入して、コンプライアンス経営を行う事が大切だと思います。

 

>>【後編】想いを大きな一つにして発信するには協同組合【一般社団法人チャイルドライフ様】

さいごに

弊社が提供している「HUG」は放課後等デイサービス運営会社が開発したソフトウェアです。
請求業務はもちろん、個別支援計画やサービス提供記録の作成から管理も簡単に行えます。
実際にHUGをご利用いただいている放課後等デイサービス事業者様の感想をご紹介していますので、請求ソフトや管理システムの導入を検討されている方はご参考くださいませ。

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