放課後等デイサービス業界に
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2022/11/11
放課後等デイサービス事例インタビュー
福島県本宮市で放課後等デイサービスを運営する合同会社ぴーす様にお話を伺いました。
合同会社ぴーすの遠藤様は、2021年11月に放課後等デイサービス『ぴーす』を開所。
放課後等デイサービスを立ち上げた経緯やご苦労、障がい児の母としての気持ちや今後の目標について詳しくお話を聞くことができました。
インタビュアー(以下:イ)まずは施設について教えてください。
遠藤様(以下:遠藤)合同会社ぴーす 代表社員 遠藤美華です。昨年11月に福島県本宮市に放課後等デイサービス「ぴーす」を開所しました 。
イ)ありがとうございます。それでは開所するに至った経緯について教えてください。
遠藤)もともと娘が自閉症と重度の知的障がいがあり、市内に1か所だけある放課後等デイサービスを利用していましたが、1か所しかないので週5日利用できませんでした。
しかも共働き家庭で支援学校に通う中、児童クラブ(学童)という選択肢はなく、自分自身の仕事をすることがしんどい状態でもありました。
シフトを調整して何とかこなしてはいましたが、「何で障がいのない子を持つ母親は当たり前のように学童に子供を預けて働けて何も言われないのに、障がいのある子を持つ母親だけが預け先もなく、子供に障がいがあるんだから働かないで家にいてあげよ」と言われることに不公平感を感じていました。
そもそものきっかけを振り返ると、福祉の観点ではありません。きっと私以外にも働きたくても働けない母親がいるはずだと考え、「障がい児を育てる母親の働く時間や自由な時間、社会に出る機会や時間を作るために」と思ったことが一番最初の放デイ開所への想いです。
地元広報誌の表紙で成人式の写真を見たときに、「うちの子は知らない人の中で成人式迎えるんだ」と思ったときに危機感を覚えました。
自分の子供が地元の幼稚園にも行けていない、小学校も市外です。
居住の市外(郡山市)の児童発達支援に通い、支援学校もバスで1時間かけて通う状況に、せめて放課後等デイサービスだけでも地元に通わせたい!
地元のお友達と一緒にいさせてあげたかったんです。
イ)そもそも近くに児童発達支援施設がなかったからという事ですね。
遠藤)その通りです! 最近は発達障がい児でも受け入れてくれる幼稚園もあるようですが、その当時はほぼほぼ拒否されていました。今6年生ですが、ちょうど6年前です。
イ)そうですね、放課後等デイサービスができたばかりのころですね。
遠藤)受け入れ体制というか整ってきたの地域でも3、4年前です。当時は通わせるのも大変でした。
イ)最近になってようやく娘さんが通えるような場所や将来地元での関わりを持てるようになったのですね。
保護者の方が安心して仕事できるようにと決意されたとの事ですが、実際に開所するには大変だったのではありませんか?
遠藤)いろいろなタイミングが重なったんです。
前職(管理部の責任者)をやめるタイミングや、自分の年齢の節目。
通っていた施設の所長さんと自閉症の啓発の実行委員会を立ち上げ活動をしていたころに
「地元に放デイとかできないよね?」と聞いたとき、所長さんから「やってみたら?」の言葉がスッと私の中に入ってきたんです。
見切り発車ですが、それが自分の中で放デイを「やること」が見えてきたタイミングでした。
イ)以前のお勤め先は、福祉に関連する業界だったのですか?
遠藤)建設会社です。
イ)別の業界からの立ち上げだと、苦労されたのではないですか?
遠藤)収集しなければならない情報すら分からない。
どんな情報が自分に必要なのか?そこから分からなくて、物件探しから始めました。
まず「どこでやろう」と考えて、いい場所(ここを)を見つけて契約をしようとすると、
今度は「法人格をもっていますか?」って話になり、
そうか!会社を作らなければいけないんだ!と気が付いて、会社の印鑑もなければ契約もできないんだ!などそこから始まり、ようやく去年2月に合同会社を作りました。そして5月にこの物件を借りました。
11月に開所するまでにだいぶ経費をロスしています。
イ)物件探しはどのようにされたのですか?
遠藤)自分の足で探しました。
でも不動産屋さんとは前職のつながりもありましたし、銀行との融資交渉もしていたので、経験は生かされました。
銀行では、退職して会社を立ち上げることを話し、融資の相談を先回りしましたし、
保険問題も保険会社に調べを依頼するなど、今までの縁に助けられました。
しかし、そこからの申請書類作っていくのは未知の世界でしたね。
イ)もともとのお勤め先でのご経験が活かされたり、ここでもご縁が活かされたんですね。指定申請の書類手続きは複雑な印象ですが、ご自身で作成されましたか?
遠藤)はい。福祉自体の指定申請ははじめてで大変でしたが、前職で県発注の工事に竣工書類などがあり、県の書類を作ることには慣れていたんです。それは最高の強みでした!
中身は全然違いますし、用語も分からなくて頭を抱えることもありましたが、県が求める行政独特な書類の作り方には慣れていたんです。
イ)行政書士等の専門家にお願いする方も多いですが、最初からご自身で行う予定だったのですか?
遠藤)相談もしたのですが残念ながら建設業界に強い先生だったので、そこにお金をかけるくらいなら努力して自分でやってみようと思いました。
それに市内にある施設の協力を得て、その施設の申請書類を借りたんです!つまり、お手本を借りることができたので本当に助かりました。本当に縁に恵まれていました!
イ)職員の皆様の求人はどうやって行いましたか?
遠藤)一番大変でした!
前職から信頼できる仲間を2人誘い、事務と管理のポジションをお願いできましたが、児童発達支援管理責任者が東北ではなかなかいらっしゃらず、どんなに求人を出しても来ないんです!
苦労しましたが、応募があったのはハローワークからでした。
ハローワークに載せただけでなく、インターネットでこちらからスカウトもしましたし、隣接する市のハローワーク担当者にパンフレットを渡し、想いを伝えました。
「児童発達支援管理責任者がいたら是非!」と、誰かいないか毎日のように通いました。
今、勤務してくれている児童発達支援管理責任者は福島市から通勤1時間かけて来てくれています。
遠いのですが、福島市のハローワークさんが理解してくれ、熱意を伝えてもらえたことでご縁を繋いで頂きました。
児童発達支援管理責任者が決まった瞬間は泣いてしまいました!
最後に採用した保育士もハローワークに通い、特設コーナーに案内文や写真を載せてくださいと頼みました。
今、振り返っても一番大変だったことは、書類よりも求人でした。
求人が集まらなかったあのとき、一人だったら心が折れていたかもしれません。
イ)施設のコンセプトを教えてください。
遠藤) コンセプトは
親が安心して先立てる 「こどもたちの自立」
お勉強ではなく、生きるための力を付けてあげたい。
自分を守る力、自分のやりたいことは自分で叶える力を付けてあげたい。
学ぶよりも、将来社会に出たときに自立でき、自分自身で行動し、考えていけるように
と考えています。
イ)本宮市はもともと施設が少ないのですが保護者のからの問い合わせはありましたか?
遠藤) 当初はすぐに問い合わせがあると思っていたのですが、地域柄関東と違い宣伝をしてはいけないんです!
関東では放デイも広告を出していますが、この地域では暗黙のルールで宣伝を行ってはいけないんです。
例えば、お薬は不当に安く売ることができないよう薬事法があり、本当に必要な人に適切な価格で届ける必要があるのと一緒の考えで、「本当に必要な人に届けなければいけないから、不特定多数の人に宣伝してはならない」という不思議な暗黙なルールがあり、広告を打つことができないんです。
なので、欲している人はたくさんいるのに「ぴーす」の存在を知らせることができませんでした。
しかし、アンテナを張っている母親のお問い合わせは早かったですね。
いわゆるグレーゾーンの子の母親には、なかなか情報が届かなかったようです。
また開所時期が11月で時期が悪かった問題もありました。
そこで地域の相談支援の方、市役所の社会福祉や子育て支援センターで「困っている方がいらっしゃいましたらパンフレット置いておきますので、よろしくお願いいたします。」と、今までの繋がりを利用し、お願いをして周りました。
市の教育委員会にも相談して、近隣の指定支援学級だけでもいいからチラシを配らせてくれとお願いしました。
そこから徐々にですが集まり始めました。
今は予約段階で1日15人ほどです。
今は利用者様も多く、来年の1年生を受け入れできないことが悩みで、新しく物件探しをしています。
イ)利用者は豊富な人脈からのご紹介が多いのでは?
遠藤) そうですね。相談支援員さんからの紹介のみです。逆に宣伝はできないけど、普段対応している相談支援員さんが利用者を紹介してくれています。
イ)利用者の特性は?
遠藤) 支援学校のお子様はうちの娘を含めて知的障がいのある子供2名。あとは、情緒の支援学級に通う子か、普通学級に通っているけど児童クラブでは漏れてしまう子です。
集団の中で上手くやっていけない情緒のお子様が多いです。肢体不自由のお子様はいません。
イ)ご自身の娘さんも通われているのですね?
遠藤) はい、週に3回通っています。
イ)具体的に施設で行う活動で、子供たちが特に楽しんでいる取り組みなどはありますか?
遠藤) ダントツで調理活動ですね!
食育(ビュッフェでは食べ物大事・残してはいけない)、デザートビュッフェは職員の手作りです。
アイシングクッキー、お好み焼き、カレー、ピザ造り、
「おにぎりお母さん」は、「どうやっておにぎり作っているんだろう?」から始まります。
普段の活動は、「おもちゃってどうやって片付けるの?」とルールを学びます。
「ワニワニパニック」も職員が手作りで、思いのほか人気なのは「新聞ビリビリ」です。
あとは「釣り」に、「ボーリング」です。
コロナ禍では夏休み中に外出活動や走り回る活動ができなかかったのですが、市営の体育館が障害福祉施設に無料で貸してくれました。
この広い体育館を借り切り、「尻尾鬼」をして走り回りました。
イ)子供たちが凄くいい表情ですね。夢中になっていますね!
遠藤) マスクを外しての運動は、いい刺激になります。
夏休みは他にも駐車場でプールをしたり、「夏祭り」は、ぴーすでお金を作り「お買い物」をする縁日を行いました。
弊社が提供している「HUG」は放課後等デイサービス運営会社が開発したソフトウェアです。
請求業務はもちろん、個別支援計画やサービス提供記録の作成から管理も簡単に行えます。
実際にHUGをご利用いただいている放課後等デイサービス事業者様の感想をご紹介していますので、請求ソフトや管理システムの導入を検討されている方はご参考くださいませ。
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