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2021/10/22
放課後等デイサービス事例インタビュー
福井県敦賀市で放課後等デイサービス・相談支援事業・障害児相談支援事業を行う、一般社団法人つるが福祉会様にお話を伺いました。
施設を立ち上げるきっかけとなった経験や日々の活動内容、相談支援専門員の目線から見た放課後等デイサービスの未来、法人としての今後の目標について詳しくお話を聞くことができました。
イ)もともと相談支援専門員をされていたので業界的には近いところがあるかと思いますが、実際に放課後等デイサービスを開所してみてどうでしたか?
神園)私自身の性格が石橋をたたいて渡るタイプなので、事前準備はかなり入念に行いました。
物件選びから職員の求人活動、あとは利用される地域の方への宣伝活動などですね。
私が相談支援専門員をしていることやこれから施設でやろうとしていることを保護者の方にも知ってもらうために、自分でチラシを作って小学校や特別支援学校にお渡しして回りました。
あとは地域の相談窓口や市議会議員さんなど相談ごとが集まるところに行ってお話をさせていただいたりと、とにかく広報活動には注力したと自負しています。
その甲斐あって、開所前の3月に施設の見学会を行ったときは30名を超える方々に来ていただけました。
三密を避けるため本当に利用を考えている方のみに限定させていただいたのですが、それでも34、5名の方にお集まりいただきまして。
見学した方全員が利用したいと希望されたのですが、定員の関係もあって支援の方向性や療育の方針にご理解いただいた方に絞ってご利用いただいてる状況です。
イ)やはりそこは相談支援専門員として日頃から関係を持たれていたことや、思いが上手く伝わったことが大きいでしょうね。指定申請などの手続きは大変でしたか?
神園)指定申請に関しては必ずやらなければいけないので、すきま時間を見つけては書類を作成していました。
私の場合、前の会社で相談支援専門員をしながら準備を進めていて、3月31日付けで退職して4月1日には施設をオープンするという流れだったので特に慌ただしかったと思います。
ありがたいことに前の会社がとても協力的で応援してくださっていたので、相談支援専門員の仕事をこなしながら何とか形にすることができました。
イ)お勤めしながら開業準備をするのは非常に大変だったと想像できます。実際に開所するまでどれくらいの期間を要しましたか?
神園)前の会社に退職することを伝えたのが8月頃なので、半年ちょっとですね。
イ)スタッフの方はどのように集めたのでしょうか?
神園)もともと認可外保育施設をやっていた私の母親が一緒に手伝ってくれているのと、元同僚など前職のつながりから来ていただいた方もいます。私自身が目指すところの方向性を理解してくれていて、気持ちを共有できる同志のような存在です。
あとはハローワークに求人を出してエントリーいただいた方もいます。
イ)さまざまなご縁があって集まってこられたのですね。放課後等デイサービスと相談支援事業所をされてると思いますが、両方に携わっているのですか?
神園)メインは経営者としての仕事ですが、それを踏まえて相談支援専門員の仕事と、放課後等デイサービスの仕事にも携わっています。
比重としてはどちらかというと相談支援が多いかもしれません。
放課後等デイサービスには行けるタイミングがあれば携わるようにしていますが、毎日ではなくなってきていますね。でも何かあったときすぐに対処できるよう、こまめに確認したり情報を見たりするようにはしています。
イ)ここからは少しHUGについて伺いたいのですが、最初はどのような経緯でお問い合わせをいただきましたか?
神園)初めはHUGのシステムではなく、脳バランサーキッズがきっかけです。
もともとうちの法人のホームページを作りたいと考えていて、いろいろなサイトを見て参考にしたり、ホームページ制作会社を探したりていました。そんなとき、とある放課後等デイサービスのホームページに脳バランサーキッズが紹介されていて「これは面白そうだぞ!」と興味を持ちまして…。
自分なりに調べているうちに「実際に使っているところを見てみたい。」と思い、連絡をしたところ一度見学させてもらえることになり、そこで初めてHUGというシステムを知りました。
イ)ありがとうございます。はじめは脳バランサーキッズにご興味を持たれたのですね。
神園)実はその時すでに別のシステムを導入していたんです。
うちは相談支援も行っているので、相談支援事業と放課後等デイサービスの両方を網羅できるシステムを入れたいと考えて以前のものを選びました。けれど実際に1ヶ月間使ってみるとあまり児童に特化しておらず、結果的に自分達の業務が増えてしまっている感じだったので…。
見学のときからHUGの魅力は知っていたので、職員とも「業務の効率化のためにもこっちの方が良いんじゃないか?」という話になり、少しお金はかかりましたがHUGに切り替えることにしました。
イ)具体的にHUGの機能でどのようなところが魅力でしたか?
神園)やはり使っていて一番便利だったのは、保護者の方との連絡ツールです。
大事なことは紙媒体でお知らせしたり電話連絡したりしていますが、もっと手軽に日々の様子を発信できるのがいいですよね。サービス提供記録や活動記録に写真を貼って、子ども達の活動の様子を保護者の方にも見ていただいています。
紙媒体だとその日利用していないお子さんにまでリアルタイムに情報を発信するのはなかなか難しいです。でもHUGを使えば保護者の方々へ同時に案内できるのですごく助かっています。
個別支援計画の作成機能については前のシステムとの移行がなかなかうまくいかず、今少しずつデータを入れている状況なのでこれから活用していきたいです。
イ)日々さまざまなメニューを組んで活動されていますが、そこに対する保護者の方の反応はいかがですか?
神園)実際の声といいますか、何かの形で評価をもらっているわけではないですからね。
私たちが行っていることに対して参加してくれたり毎日来てくれたりすることが答えなのかなと思いながら、日々の活動を組み立てています。
でも決して今の活動がベストだとは思っていません。常にアップデートすることで個別化であったり、より子ども達が楽しめる活動であったり、何かしらの成長につながる活動を提案し続けていかなければと思っています。
イ)ちなみに、ココトモを見学した際に「ここが参考になった」とか「これを取り入れています」ということがあれば教えてください。
神園)中高生の子たちが将来就業するときの練習として導入したのが、ココトモさんで見せてもらった『タイムカード』ですね。実際に会社で働くことを意識して、来たときと帰るときにタイムカードをガシャンとやっています。
あとはパソコンのタイピングやパソコン検定なども取り入れました。最初はまったく使えない子でも、やっていく中で一つ一つできることが増えて確実に成長しています。
また、活動のルーム決めをホワイトボードに書いてあったり、ラミネートして視覚的に子ども達への説明をする方法はすごく良いなと思ったので、それも導入させてもらっている感じです。
イ)ありがとうございます。今も利用を希望される方も多いと伺いましたが、今後は施設を増やす予定などありますか?
神園)一応検討はしてるのですが、今はまだ人材不足という大きな課題があります。
放課後等デイサービスの基準にある有資格者の人員配置もギリギリな状態なので、まずはそこをクリアしていかないといけません。
普段も有資格者が3人いないと11人以上の利用者さんを受け入れられないので基本は10人に収まるようにしており、11人以上利用される日は私が入ることで対応しています。
まずはそこに補充できる人材を発掘・育成することが先決ですね。そこは法人の目標として早急に対処していかなければいけないと考えてます。
また、現在は小学低学年のお子さんと中高生以上のお子さんが混在していますが、もう少しそれぞれに特化した活動を提供したいという思いもあります。
そのため2施設目は就労準備型に特化した放課後等デイサービスを作り、よりお子さんのニーズに合わせた活動やサービスを展開していきたいです。
イ)もともと相談支援専門員をされていたということなので、そうしたご経験や視点から放課後等デイサービスを見た印象や放課後等デイサービスがこうなっていくと良いな、というご意見があればお聞かせいただきたいです。
神園)相談を受ける立場として見たときに、放課後等デイサービスはただ混在するのではなく役割をきちんと分担していく必要がある、と感じていました。
例えば医療が必要な医療ケア児に特化した施設や、就労支援に特化した施設、運動療育がメインの施設など、それぞれの療育機能を明確化することで、利用者さんは施設を選択しやすくなります。
それぞれの放課後等デイサービスが自分たちの役割をしっかりと理解して、事業所の方向性や方針を固めた上で地域づくりを行えると良いのではないでしょうか。
イ)その子にあった居場所を提供できる環境が必要で、そのためにも施設の特徴を明確にするということですね。
神園)そうですね。一つの事業所で全てを抱えるような今の形態では、お子さんの選択肢はどうしても狭まってしまいます。
それぞれの事業所が特徴を持って支援を行うようになれば、相談を受けた際にその子にとってより適切なサービスの提案やマネジメントができるので、今後は地域全体がそのように変化していけば良いなと思っています。
イ)一つの事業所で完結する良さもあると思いますが、その子の発達の段階に応じて放課後等デイサービスを選択する形があっても良いかもしれませんね。
神園)放課後等デイサービスとしての住み分けといいますか、特徴を出していく中でその子にとって通いやすい環境を提供する。
その中でお互いを高め合っていけることが理想的だし、そうなっていけると嬉しいですね。
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