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2021/02/19
行政書士小澤先生の放デイコラム
みなさんこんにちは!
はぐめいとでは放課後等デイサービスや児童発達支援を運営している事業者様に向けて様々な情報を発信しています!
今回は放デイ・ラボのYouTubeチャンネルの中で『【令和3年法改正】放課後等デイサービスの極端な短時間のサービス提供と欠席時対応加算(II)の注意点』について、介護業界を支える行政書士 小澤信朗先生にわかりやすく解説いただきましたので、その内容をご紹介します。
今回は、令和3年2月4日に行われた厚労省障害保健部障害福祉課・第24回障害福祉サービス等報酬改定チームによる資料から、極端な短時間のサービス提供と欠席時対応加算IIについて詳しく解説します。
※『令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(案)』
※『令和3年度障害福祉サービス等報酬改定の概要(案)』
新設される欠席時対応加算IIは、【令和3年報酬改定】の目玉のひとつになるのではないでしょうか。
これからは、極端な短時間(30分以下)のサービスを行っても報酬を取れなくなりますが、そのかわり体調不良によって30分以下で帰ってしまったときには、欠席時対応加算IIが取得できるようになります。
また、在所時間数を徐々に延ばす必要があると市町村が認めた就学児については例外もありますので、その辺りにも触れながらお話します。
改定後からは、極端な短時間(30分以下)のサービス提供について、報酬(基本報酬および加算)が算定されなくなります。
そこで気を付けるべきポイントは、以下の2つです。
1◇送迎時間を含めることは原則NG!
利用児童が施設に入室してから退出するまでの時間が30分より多い時間でなければ、給付費の報酬請求はできません。
かといって、送迎時間を含めるのは原則としてNGです。
おそらく全国単位で認められないと思うのですが、もしかすると自治体によってはOKとみなすローカルルールがある可能性もゼロではありません。
でもそれはあくまでもローカルルールであり、厚労省が定める全国基準では送迎を含めるのはNGである、と認識してください。
2◇サービス提供実績記録票、サービス提供記録、送迎車の送迎記録には整合性のとれる記録を保管
この3つの記録を見たときに、「確実に30分より多く施設に滞在しているな」と整合性がとれるような記録を保管しておくことが必須になっていきます。
極端に言うと、これまでは「施設に来た」という証拠さえ残しておけば、滞在時間が1分だろうと5時間だろうと同じ報酬単価がもらえました。
ですが今後は「30分よりも多く滞在していないと算定しない」というルールに変わりますので、確かな記録が必要になるわけです。
上記の記録を見たときに、確実に30分より多く施設に滞在していることと、きちんとサービスを提供していることが分かる記録の残し方をしなければなりません。
また、仮に32分や33分などの形式的にギリギリの滞在時間だと、サービス提供とみなされない可能性もあります。
なぜなら「報酬が欲しいがために、無理やり児童を30分以上滞在させたんじゃないか」とも受け取れるからです。
そういう疑わしいことをしてしまうと、ルールには沿っていても実質的にはアウトと捉えられて、返金対象になる可能性が出てしまいます。
そうならないためにも、具体的にどんなプログラム活動を行ったのかを時間単位で記載しておくことが重要です。
できれば「この時間からこの時間まではこんな活動をやっていたよ」という詳細まで書かれていると、より安心でしょう。
ここはとても重要なので、ぜひ押さえておいてください。
◇運営指導対策としてのアドバイス
「じゃあ30分以上というのはどのくらいの時間ならいいの?」と戸惑われる方もいらっしゃるかと思います。
私個人の見解では、施設での滞在時間が最低でも45分以上というのがひとつの目安だと考えています。
必ずしも45分ではなく40分でも構わないのですが、30分より確実に長くいた、という実績が重要なことに配慮すると、45分くらいが妥当かもしれません。
そう考える根拠には、介護保険の通所介護(デイサービス)で、仮に7時間以上のサービス提供の点数で請求をする場合「7時間15分以上滞在していること」と指導している行政が少なくないということがあります。
そうした観点からも、プラス15分くらいは必要かもしれません。
初めからある程度まとまった時間を施設で過ごすのが困難で、在所時間を徐々に延ばしていく必要があると市町村が認めた児童に関しては、30分以内の短時間であっても算定されます。
思うに、不登校の児童が再び学校に通えるよう訓練を行っていて、プロセスの一環による通所などがこれに該当するのではないでしょうか。
「市町村が必要性を認めた児童」というのが非常に重要で、市町村が認めるためにはこのような前提条件があります。
その上で、市町村が同意したとして、何かしらの書面(メール等の電子を含む)による証拠を残さなければなりません。最も確実で有効的なのは、市町村との会議の議事録に確認印をもらっておくことではないか、と個人的には思います。
市町村の同意の証拠がなければ、返金対象の可能性が極めて高まります。口頭だけで油断せず、前提条件をクリアした上で認められた証拠まで、きちんと残しておきましょう。
改定が施行される2021年4月までに、ルールが変更される旨を保護者の方へ説明し理解を求めましょう。
「今後放デイに通ってもらうなら、体調不良以外は30分より長い時間施設にいてもらうことが原則になります」と、分かりやすく口頭と書面によって伝えることが大事です。
また、利用料金の変更や区分の廃止についても、説明を行い書面での同意を得る必要があります。
今回の改定では、30分以上のサービス利用をはじめ、事業所内相談支援加算の増額や家庭連携加算の柔軟な対応など、保護者との連携が重要視されています。
もし、保護者の方への説明がおざなりになると、認識の不一致によって後々トラブルを招いてしまうかもしれません。
利用時間の通知も含め、こまめに保護者の方と連携を図り、理解を得ておいてください。
利用児童の体調不良などにより、結果的に短時間(30分以内)のサービス提供となった場合には、欠席時対応加算IIが取れます。
その際、運営指導(実地指導)対策として『体調不良であった記録』は必須です。施設に来たときの検温の結果や、学校や施設での様子などを記載して「誰が見てもこれは体調不良だね」と分かるようにしておかなければなりません。
ここで1番留意して欲しいのが、体調の悪い児童を無理に滞在させない、ということです!
確かに、在所時間が30分以下だと欠席時対応加算IIの94単位ですが、30分以上滞在してもらえれば1日の報酬単価が付きます。
だからといって、体調不良がわかっていたにも関わらず報酬単価欲しさに30分より長く滞在させることは、絶対にやってはいけません。
「施設に来て1時間~1時間半いたけれど、急に気持ち悪くなったので帰りました」ということであれば、1日の報酬単価を請求しても何ら問題ありません。
しかし「来た時点で体調がおかしいにも関わらず、32~33分滞在して帰りました」では、あまりにも不自然ですよね。
もし記録からそうした経緯が伝わってしまうと、在所時間が30分以上であっても運営指導の際に欠席時対応加算IIの対応になる可能性もありますので、ご注意ください。
ここで着目してほしいのが、欠席時対応加算IIで一度施設に来てるということは、少なからずサービスを提供していることになりますよね。
サービスを提供している(II)と欠席している(I)でもらえる単位が同じということは、(I)でもサービスを提供しているのと同等の整合性を図る必要がある、ということです。
(I)を算定する際は、今までよりもさらに『相談援助の内容』を充実させなければなりません。少なくとも、「お大事に」や「またいらしてくださいね」といった簡素な対応では、今後(I)を取得しづらくなると思われます。
保護者の方と「児童の体調の様子」「診察の有無」「食べ物について」「施設での様子など」をシェアし、どのように病気に対応していくのかを相談援助しましょう。
あまり時間で判断したくはありませんが、目安としては数分~15分程度の相談援助を行って記録を書く作業まで含め、所要時間が15分以上かかる程のしっかりとした対応を行って初めて、欠席時対応加算Iを請求できるのではないかな、と個人的には思います。
欠席時対応加算IIが新設されたことにより、今後は欠席時対応加算Iの相談援助がとても厳しく見られる可能性があることを、ぜひとも押さえておいてください。
放課後等デイサービスにおける児童のサービス利用は、今後30分以下の在所時間では報酬単価が取れなくなり、厳格に記録の管理が求められるようになりました。
そうしたことを踏まえて、特に4月以降の対応には細かな部分に注意するよう、スタッフ全員で共有認識を持ち、制度改定の対応に取り組んでいただけると幸いです。
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また、減算対象や基準を満たしていない場合は警告を表示。加算要件も自動でチェックするので取得可能な加算情報もひと目で分かります。
もちろん、2021年4月の報酬改定に対応。
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例えば、福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員処遇改善特別加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の金額は、 施設ごとに月単位、年度合計をご確認頂けるようになり、毎月の請求情報をもとに自動的に金額が表示されます。
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1977年東京生まれ。東京都中野区で活動する行政書士。
山形大学人文学部4年の時に、知的障害児のための学童保育でボランティアを始めたことをきっかけに、 障害福祉サービスに関するサポート業務をおこなうことが自分のライフワークとなる。
山形大学人文学部を卒業後、介護保険対応総合システムのサポートを経て、 2010年9月に行政書士として独立。
放課後等デイサービスは、東京都の他、青森県や岩手県、宮城県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、茨城県、神奈川県、静岡県、愛知県、長野県、三重県、岐阜県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、沖縄県などからも依頼をうけ、開設や運営のコンサルティングや申請代理業務を手掛けている。また開業後、リコージャパン株式会社、公益社団法人かながわ福祉サービス振興会、パナソニックエイジフリーケアセンター香里園、NDソフトウェア株式会社、新興サービス株式会社、多摩信用金庫、株式会社細田工務店、株式会社エス・エム・エス、株式会社いきいきらいふ、連合福井、杉並区地域包括支援センターケア24西荻、府中市地域包括支援センター安立園など上場企業や地域包括支援センター主催のセミナーで講師として活動するなど幅広い活動をおこなっている行政書士である。
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