放課後等デイサービス業界に
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2024/10/30
放課後等デイサービス事例インタビュー
北海道旭川市で放課後等デイサービスなどを運営する特定非営利活動法人 地域生活支援ネットワークきらり様にお話を伺いました。
特定非営利活動法人 地域生活支援ネットワークきらり様は、2002年に障がい者向けの入所施設を開設後、2004年の法人化を機に旭川市初のグループホームや児童デイサービスを開所されました。
現在は放課後等デイサービスの「おおぞら」「第二おおぞら」「きらりデイサービス」、児童発達支援「旭川子ども発達支援センターたいよう」、その他に「グループホームきらり」、「きらり相談室」(相談支援事業所)、「きらり作業所」(生活介護)を運営されています。
施設を立ち上げた経緯や事業展開について、代表理事の瀨川俊行様と管理者の河村知彦様と請求担当の髙岩有紀子様からお話を聞くことができました。
インタビュアー(以下:イ)自己紹介をお願いします。
瀨川様(以下:瀨川)代表の瀨川と言います。
法人設立からずっと20年以上障がい者福祉に関わっています。
河村様(以下:河村)放課後等デイサービス「おおぞら」の管理者をしています。河村と申します。
髙岩様(以下:髙岩)管理・請求担当の髙岩です。よろしくお願いします。
イ)代表の瀨川様にお伺いします。放課後等デイサービスの他にも児童発達支援センター、相談支援、生活介護やグループホームなど様々な障がい者福祉事業を展開されていますが、施設とはどのように関わられているのでしょうか?
瀨川)本部がある春光台では、グループホームと放課後等デイサービスを2つ。そしてここから5、6キロ離れた神居というところに児童発達支援センター、放課後等デイサービス、生活介護事業、相談支援事業の4つの事業所があります。
本部の方にも顔は出しますが、主に神居の生活介護の「きらり作業所」を見ながら、時々子どもたちと一緒に遊んだりしています。この間は「たいよう」(旭川子ども発達支援センター)の子どもたちとロープウェイで姿見駅まで行き、旭岳に登りました。
施設全体を把握できるように、管理者会議やサビ管会議などが開催される時は参加して、職員と一緒に話し合いながら現状把握をしています。
イ)管理者の河村様にお伺いします。管理者の仕事内容を教えてください。
河村)僕は、管理者と言いましたが児童発達支援管理責任者を兼ねているので、毎日ではなく週3、4回くらいは現場に入り、職員と情報共有しながら子どもたちの支援にあたっています。
他には外部との繋がりが結構あります。学校や相談支援事業所とのお子さんごとの担当者会議です。僕ともう1人の児童発達支援管理責任者と分担しながら参加しています。
イ)他の施設とは日々どのように情報共有されているのですか?
河村)相談支援事業所や学校主催の会議が定期的にありますので、そのときに顔を合わせる機会があります。また、事業所を併用しているお子さんもいるので、そのお子さんの様子については直接電話などで伝えて情報共有しています。
イ)髙岩様が全体の請求を担当されているとお伺いしましたが、放デイとの関わりは請求業務だけでしょうか。
髙岩)そうですね。グループホームで管理者もしているのと、法人全体の予算や理事会などにも関わっているので、どうしてもそちらの仕事が多くなっています。
イ)グループホームから始まり、なぜ放デイを立ち上げられたのでしょうか?
瀨川)入所施設の職員として長年勤務していましたが、障がい者の自立を目指したノーマライゼーション(注1)の考え方とともに、入所施設よりもグループホームが必要になりました。
障がい者が地域で生活できるように「本人支援」をしていかなければならない。そこで住宅地の中にグループホームを作ることにしたんです。
当時から就学前の子どもたちの支援にすごく力を入れていたので、乳幼児を本格的に支援できたら、乳幼児から就学前、就学児童から成人、そして高齢者に至るまで一貫した支援ができると考えるようになったんですね。
障がい児向けは「児童のデイサービス事業」と呼ばれていましたが、平成17年の児童福祉法の改正で障がい児向けの事業が始められるようになったのを機に、2階建ての建物の1階を児童のデイサービスにして障がい児向けの事業を開所したのが始まりです。(注2)
平成24年の児童福祉法の改正を受けて、名称は放課後等デイサービスになり、平成24年に児童発達支援センターが法人で開所できるようになったので、児童発達支援センター「たいよう」を作りました。
結果、児童発達支援、放課後等デイサービス、生活介護、グループホームというように乳幼児から高齢者まで一貫して支援できるような事業体制になりました。
(注1)厚生労働省が掲げるノーマライゼーションの理念は、 「ノーマライゼーションとは人権そのものであり、社会的支援を必要としている人々(例えば、しょうがいのある人たち)を「いわゆるノーマルな人にすることを目的としているのではなく、その障害を共に受容することであり、彼らにノーマルな生活条件を提供すること」と定義しています。(厚生労働省:総論より)
(注2)「放課後等デイサービス」は、平成24年4月に児童福祉法(昭和22年法律第164号)に位置づけられた新たな障がい児通所事業です。その前身の「児童デイサービス」は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に規定された支援であり、社会福祉法人、医療法人、自治体など一部の組織にしか運営が許されてきませんでした。
イ)障がい児通所支援事業が始まったばかりのころから、すぐに児童を受け入れていたということですか?
瀨川)そうです。平成17年から自立支援法で支援費制度ができ、児童デイサービスを始められるようになったので、17年から始めるにあたって、どうせ建物を建てるなら1階は児童デーサービス、2階は大人とした方が有効に建物を活用できるという経済的な理由もありましたが。
イ)凄いスピード感と決断力ですね。
開所からすぐにお子さまを受け入れられていますが、当時を思い出して立ち上げで大変だったことなどありましたか。
瀨川)NPO法人で初めて児童デイサービスを作ったとき、障がい児支援について勉強してきていたスタッフも集まり、しっかりした支援内容も組み立てることができました。
お子さんの問題に対して、話し合いをしながら支援方法を組み立てていくというやり方をしてきたので、それなりに人気があり、人も集まるようになりました。
現在も毎年研修会を開いて、いろいろな支援の組み立てを勉強して、質を保ちながらやっています。
イ)施設の特色について教えてください。
河村)最近は室内で過ごすお子さんが多いので、「おおぞら」では、外で体を動かして体力作りをしたり、色々な遊びを通してお友達との関わりや気持ちの伝え方を学んでいます。
子どものストレス発散に繋がる部分もあるので、外活動はメインの1つですね。
あとは、お子さんの「居場所作り」ですね。大きな集団やコミュニケーションが苦手だと、どうしても注意されることが多くなります。
小集団の中で大人との関わりを深めながら、友達と少しづつ上手に遊べるようになって成功体験を積んでいく。子どもたち1人1人が自信を持てるようにすることを大事にしています。
ここに来たら「ホッとする」とか「安心して過ごせる」と感じて欲しいと思っています。
イ)外で活動するために工夫されていることはどんなことでしょうか?
河村)初めて来た子や1年生の子は、いろいろ気になる方にいっちゃいますよね。道路に飛び出したり、公園の遊具の使い方1つにしても危ないと思うこともあります。
ですから公園に行く前に「ルールの提示」をします。遊び方、外での歩き方などをSST(ソーシャルスキルトレーニング)として、一緒に確認しています。
子どもたちには「日々の目当て」というものがあります。活動の目的みたいなものです。
「今日はお友達と順番を守って歩いていこう」「遊具は順番を守って使おう」などいろいろなルールがあります。その目当てを1つ絞って決めて、それが守れたら、「守れたね」と褒めて成功体験を積んでもらい、ご褒美につなげています。
お子さんの意識付けもですが、外の活動では職員の配置を事前に打ち合わせをして、衝動性の強いお子さんには職員が1人付きながら一緒にルールを確認して歩くなど、とっさの動きに対応できる体制で活動をしています。
イ)保護者様とは、普段はどのように関わられているのでしょうか。
河村)面談を定期的に実施しています。
送迎中だとじっくり話せない部分もあると思うので、午前中や逆にお子さんが帰った後の時間などに、電話でお話しする時間も作っています。あとは面談のときです。
イ)保護者の方からの悩み相談は多いということでしょうか。
河村)やっぱり多いですね。日々のお子さんとの関わりの中で苦労していることなど保護者の負担も結構あると思うので、悩みの相談は多いと思いますね。
イ)お悩みの相談を受けるのは、職員の皆様ですか?
河村)大体は僕がお聞きしますが、他にも児童発達支援管理責任者がいますし、お子さんごとに担当職員もいるので、その担当職員が保護者の方の話を聞くこともあります。
相談の対応は、最初は私が面談するときに職員にも一緒に入ってもらい、実際に見てもらいます。
少しずつ保護者の方のことを知ってもらい、「こんな話をしているんだ」、と雰囲気に少しづつ慣れてもらい、一緒に振り返りながら、保護者の方への伝え方などを指導しています。
イ)療育については、職員の方に伝えていることなどはありますか?
河村)毎朝必ず職員と打ち合わせをします。当然、前日の振り返りをするので、お子さんの様子とか課題とか、難しかったことなどを一緒に話していく中で、今日は「こういう対応をしてみようか」など職員皆にするようにしています。午後から来るパートさんにも伝えていくように徹底しています。
イ)情報共有をしっかりされているわけですね。ちなみに活動内容は、どなたが決めていらっしゃいますか?
河村)基本は職員です。日々交代して、この日は誰が担当するか月間で決まっています。その担当が、指導案を立てます。その指導案をもとに、皆で細かな療育内容を相談するようにしているんですね。
自分で考えることも大事だと思うので、誰か1人だけが作るとかではなく、ある程度決めた中で、みんなでさらに考えて、擦り合わせている感じです。
イ)皆さんの意見を聞きながら活動内容が決められていくということですね。
イ)どういった方法で求人を出されていますか?
瀨川)インターネットの仕事ガイドや地元の求人誌です。あとはハローワークですね。
情報誌やインターネットを含めて3~4社くらい利用しますね。
イ)報酬改定があって人員配置の基準も変わってきたこともありますが、何か求人で変更された点などはありますか?
髙岩)賃金アップはしましたね。
旭川市内には、今80数か所の放課後等デイサービスがあります。その中で有資格者の保育士さんや児童指導員さんとなると応募がない状況です。
うちは元々福利厚生がいい方だと思ってます。完全週休二日制ですし、小学生未満のお子さんがいる方には有給休暇とは別の休暇でお子さん1人につき有休として5日付与してるんですね。2人以上だと10日です。子育て世代の方が多いので安心して働いてもらえるような環境になっていますね。
イ)皆さん、有休の取得はしっかりされていますか?
髙岩)年5日は必ず取ってと伝えてます。
イ)やっぱり子育て世代に休みが多いというのは、すごくありがたいことですね。
瀨川)良い労働条件を提案するということが、人を集めるためには必要です。先ほど別休暇と言いましたが、子の看護休暇(注3)として、お子さんが熱を出したりなどそういう時に休めるように年間5日です。看護休暇を与えている事業所ってそうないですよね。
普通、有休は勤続6ヶ月を過ぎないと取得できませんが、その6ヶ月の間で3日間(年間の付与は変わらず)は先取りできるようにしています。
子どもが6ヶ月間で熱を出すこともありますし、学校の参観日など子育て中はいろいろある訳です。有休を取れないと欠勤になって給与が減ってしまうことがないように、せめて3日間だけでも先取りできるようにしています。
労働条件の整備について常に考えながら、仕事がしやすい環境を作っています。
イ)求人には働きやすい環境が必要だということで、賃金アップや休暇などをいち早く対応してこられたのですね。
(注3)来たる2025年4月からの育児・介護休業法の改正についての指針案「育児・介護休業法の改正を踏まえた主な指針事項(案)」では子の看護休暇も議論されています。
イ)HUGについてお伺いします。最初はどのような困りごとがあってご検討いただけたのでしょうか?
髙岩)紙媒体でのやり取りを減らしたいと思ったのがきっかけです。
おおぞらの職員が18時の勤務時間を過ぎてから明日の準備に取り掛かっていました。
紙媒体だとどうしても時間が掛かっていたので、そういうところから業務改善が出来たらと思っていました。
イ)他の施設の職員の方からも、そのお声が上がっていたのですか?
髙岩)声があったわけではありませんが、そういうところから業務改善が出来たらと思っていました。
イ)紙媒体というのは、利用予定などでしょうか?
髙岩)利用希望票だったり活動内容の報告を揃えて、実績記録票に挟まなきゃいけないし、紙に書いてある内容も確認しなきゃいけないなど、様々な作業がありました。
HUGにしたことで、今はみんなが同時に見られるし、あらかじめ下書き保存できるので情報共有という部分で良かったと思います。
イ)HUGはどこから知っていただけたのでしょうか?
髙岩)施設長が調べてくれて、知りました。ホームページも見て、これはもう便利だなと。ちょうどそのとき請求事務でミスが続いたこともあり、ミスも減らしたい思いもありました。
イ)請求のミスとは、具体的にどんなミスが多かったのでしょうか?
髙岩)請求はExcelで管理していたのですが、入力する時点で間違っていたこともありますし、実績記録票とExcelの数字が合っていなくて、どちらが正しいかというやり取りもありました。
送迎がないことになってるけど、あるのでは?などと細かいことですが、確認する作業が多くありました。
イ)当時から髙岩様が、全体の請求を担当されていらっしゃったのですね。
髙岩)法人の拠点が2箇所あるので、そのうちの1箇所でやっています。
実績記録票は必ず各事業所の担当者に出してもらってたんですが、実績記録票を預かってから国保連のシステムを使って改めて入力する作業があったんです。
その中で実績記録票のサインを保護者からもらっていないから揃わないなど、2日間くらい入力にかかっていましたね。
イ)導入いただいて、どのようなことに変化がありましたか?
河村)午前中の時間が有効に使えるようになってきてますね。
午前中は準備として、来所する子どもたちの書類を出力して揃えておくとか、活動以外の療育のための事務的な準備時間が結構かかっていいました。今はその時間を有効活用できるようになり、助かっています。
髙岩)もう昔には戻れないよね。
河村)もう嫌ですね(笑)
イ)空いた時間で何が出来るようになったのでしょうか?
河村)支援に当たるスケジュール作りや支援活動の準備に充てることが出来るようになってきたので、お子さんへの支援の質の向上という部分に繋がってるんじゃないかなと思うんです。
イ)保護者の方とのやり取りについて変化はありましたか?
河村)HUGに一本化されてからは、HUGが使いやすいと言ってくれる保護者さんもいます。以前は携帯のショートメールとかでしたが、それだと返信までに時間かかっていたり、見逃してしまったりが多かったこともあります。
髙岩)アプリが出たのは、全然違いますね。通知が来るっていうのは大きいですね。
河村)HUGがアプリになってLINEみたいに過去の連絡もぱっと見やすいのは良いですね。保護者さんから、お子さんの自宅の様子を写真で送ってもらうこともあります。
返信を写真付きで送ってもらえるってことは、昔はなかったので、すごい良いところですよね。
イ)連絡帳(サービス提供記録)には、写真を多く載せていらっしゃいますか?
河村)お子さんの様子を言葉だけじゃなく、表情も見れたり、どんな活動をしてるのか、口頭で伝えることは難しいけど、写真を見せることでよりイメージが出来たり、お子さんが元気に活動している様子を見られるのは保護者さんにとっては嬉しい材料の1つですね。
髙岩)以前、保護者と施設との間では連絡ノート(連絡帳)でやり取りしてたんですよね。朝の体温から、昨日は何時に寝たかなどを保護者さんから伺い、職員が控える。更には今日の活動をお子さんが帰るまでに書かなきゃいけなかったんですね。
HUGでやり取りをするようになってからは、お子さんが帰った後に写真付きで今日の活動を載せれるようになったので、職員の負担は減ったと思ってます。
手書きで書いた時間を支援の時間に充てることになりますし、手書きより画面に打つ方が早いですよね。
河村)活動の写真を送れるようになったから、なるべく送ってあげたいと思うようになって、やっぱりそれを時間内にすることは難しくて、お子さんが帰ってからになり、結果的に時間を取ることもあります。
髙岩)スマホで撮影したものを、スマホから送信できるようになったので、うまく活用できればと思います。
イ)今後は、どのような事業展開をお考えでしょうか?
瀨川)展望というより現状維持ですね。
グループホームでは、高齢者向けや障がいの重い方の対応もやっていきたいとは考えていますが、職員の確保がすごく難しい状況です。
高齢化してくる障がいがある子を持つ親御さんは、子どもたちが入れるところが無くなってきていることに悩んでいるんですね。親なきあとの将来です。課題ではあるのですが、建物を建てたとしても職員集めが難しい。
視覚支援や構造化などの支援方法を使いながら、なんとか障がい者支援をしていきますが、重い人たちの支援をきちんと対応してくれる施設が増えることを親御さん達は望んでいます。
どうしても強度行動障害を持ったお子さんや自傷だとかパニックになったりなど問題に対応できる施設がなかなか無くて。強度行動障害のような重い障がいのある人達の支援をいかにしていくかが課題であると思ってます。
イ)大変勉強になりました。色々とお答え頂きまして、ありがとうございました。
弊社が提供している「HUG」は放課後等デイサービス運営会社が開発したソフトウェアです。
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実際にHUGをご利用いただいている放課後等デイサービス事業者様の感想をご紹介していますので、請求ソフトや管理システムの導入を検討されている方はご参考くださいませ。
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