放課後等デイサービス業界に
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2023/11/21
放課後等デイサービス事例インタビュー
愛知県で放課後等デイサービスを運営する株式会社Ystyle様にお話を伺いました。
株式会社Ystyle様の𠮷川様は、児童発達支援『Yくまーず未来』にて児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援の多機能型事業所のほか、相談支援事業所やグループホームや就労支援B型事業所を運営。さらには精神科訪問看護事業も立ち上げられました。
幅広い活動の経緯やご苦労、今度の目標について詳しくお話を聞くことができました。
インタビュアー(以下:イ)自己紹介をお願いします。
𠮷川様(以下:𠮷川)株式会社Ystyle代表の𠮷川と申します。
イ)現在は何事業所を運営されていますでしょうか?
𠮷川)児童発達支援などの児童福祉施設や就労支援を含めて15事業所になります。
イ)最初に立ち上げられたのはいつになりますか?
𠮷川)一昨年になりますので2021年8月1日です。三河安城校が第一事業所になります。
イ)2年で15施設まで増えたわけですね。以前から開所しようと構想があったのでしょうか?
𠮷川)もともと旅行業で、少し広告業も携わっていましたが、当然コロナ禍でサービス業的な業務はストップしました。
太刀打ちできない状態に陥り、このまま旅行業を続けるか何か始めるのか、または廃業するか、社員を抱えていたので、決断を迫られていたのが2020年の秋です。
たまたま旅行業でお世話になっていた東京の老人福祉施設様と連絡を取っていたときに知ったのですが、その企業様は放課後等デイサービスも運営されていました。そして施設を見せていただき、「こんな仕事があるんだ!」と初めて知りました。
実は、子どもの発達障がいに悩んでいるお母さん社員の悩みも聞いていたし、施設に通っているのも知っていたのにです。やっとここで話が結びつき、興味が湧きました。
その社員に施設訪問を報告すると、「うちの会社でもやってくださいよ」と話は盛り上がったわけですが、ノウハウもないし到底無理とも思っていました。
そんな話の中で、何が一番の悩みであり、何を望んでいるのか真剣に聞いたところ、将来自分がフォローできなくなったときに、いかに一人立ちできるかに焦点を当てた「お給料がもらえて自立ができること」でした。
就労支援も分かっていましたが、一番大事で難しいことは、利用者を企業に迎えてもらうことだと思い至ったときに、「待てよ!」と。
ぼくには最終目的地である企業に就労を紹介できる伝手がたくさんあることに気がつきました。
法人専門の旅行業を経営していたので、「それらの企業に障がい者を迎えてもらえばいいのではないか」
実は、この発想から始まったんです。
イ)では、就職先の企業を紹介できることを強みに始められたわけですね。
𠮷川)そうですね。最終的な目的地である就労の悩みを僕は解決できると思いました。
今の放課後等デイサービスは就職を支援してくれるのかと聞いたところ、「年齢が達したら終わりで、次の施設に行くことになる」と。
年齢で支援が区切られてしまうのは寂しいことです。
僕だったら企業を斡旋できるんじゃないかと思い、すぐに企業周りをしたんです。
「もし僕がこんな施設を作り、子どもたちを支援したら、就職をさせていただけますか?」と。
すると、どこの企業さんも「君が頑張ってやるなら受け入れてもいい」と言っていただけました。
そこから事業の勉強を始め、施設訪問なども経て、やはり「自分がやらなければならない」という使命感と意欲が湧いたことからスタートすることにしました。
イ)子どもたちの居場所を作ってあげることからスタートする施設が多い中で、全く逆で「就職支援してあげられる。」
この強みがあるから事業をスタートされたわけですね。
イ)畑違いからのスタートですが、どこから着手されましたか?
𠮷川)最初は何もわからない状態でしたから、とりあえず児童発達支援管理責任者(以降:児発管)の募集と土地探しからスタートしました。
しかし、同時に「企業とコラボしたい」という思いもありました。
具体的には「企業のサポートを受けて第一号店を立ち上げたい」と考えていました。それが、三河安城校の始まりです。
そこで地元にある大手メーカーの安城工場を訪問しました。
「力を貸して欲しいです。しかし、お金を出してくださいと言うわけではありません。箱や物など何か使わせてもらえませんか」
「一緒に協力して福祉事業を行うことはできないでしょうか」と。
そして、興味を持っていただいた結果、現在の三河安城校があるコンビニエンスストアの倉庫になっていた2階を貸していただきました。
そこに並行して児発管がやっと見つかりました。とても経験豊富な方だったのでいろいろな情報を教えてもらうことができ、施設運営に必要な勉強ができました。
イ)放課後等デイサービスの運営は特殊な部分もありますからね。採用された児発管から勉強されたわけですね。
𠮷川)はい。僕自身では分からなかった部分も多かったので、かなり助けてもらい、無事に施設を立ち上げることができました。
実際に支援は児発管に任せるしかないので、僕はしっかりと企業や箱の準備をしていきました。
イ)それが1号店ですね。
𠮷川)オープンしてすぐに問い合わせが多くあり、「これなら!」と、すぐに2号店の準備も始めました。近くの刈谷市に素敵な物件があったので、すぐに児発管を募集して開所に至りました。
イ)社員の方はどのように募集されましたか?
𠮷川)社員集めも工夫が必要です。
施設訪問を繰り返す中で「何月何日に美術の先生が来てくれます」など宣伝されている施設がありましたが、「いい事なので毎日の療育に取り入れたい。魅力的な楽しみは、増やせばいい。」それなら美術の先生を直接入れようと、美術大学の卒業生を採用しました。
おかげさまで社員の中で美術大学出身者の芸術チームが6人います。そのためうちは毎日美術の先生がいます。施設のパンフレットなども、社員が作成しています。
2年前まではあまり盛んではありませんでしたが、専門職を積極的に採用しています。
イ)リハビリテーションもですね。
𠮷川)これからは、もっと専門的なことに対応していかなければならないだろう。それならと専門職を募集したところ、1号店に作業療法士が来てくれました。しかも、児童専門の逸材です。大学卒業後ずっと10年間子ども相手に作業療法士として勤務されていた方でした。
作業療法士のおかげで施設のレベルが上がりました。医療機関で作業療法士に診てもらうためには何か月も待たなければならないのに、施設に通えば、毎日作業療法士に診てもらえるようになりました。
スキルを含めた先生方のラインナップが充実していることが強みです。
イ)スペシャリスト集団を作られたわけですね。
𠮷川)そうなると相談支援専門員さんたちにも、「ここなら預けられる」とたくさん紹介していただけます。
相談支援専門員さんからの連絡で三河安城校は2か月で満員になりました。
イ)美術大学出身の先生方や作業療法士さんは、どうして入社されたのですか?
𠮷川)美術大学や専門職の養成大学にお伺いし、就職課の方と連携して紹介してもらいました。
イ)企業選びは縁だとも思いますが、𠮷川様から何か熱い想いをお伝えされたのでしょうか?
𠮷川)「未来の子どもたちのために力を貸してください。」と伝えました。
美術大学を出たからといって美術で職を得ているのはほんの少しです。クリエイターになれる人はほとんどいない。そんな中でうちに来れば、ずっと美術の仕事に携わることができます。
「子どもたちに夢や創造を与えることができ、大学で学んだことが生かされる」とお話させていただきました。
イ)𠮷川様自身が、障がい児の将来への不安を共感されたからでしょうが、共感する人たちが集まってきてくれたわけですね。
𠮷川)大手の企業さんも後ろ盾になってくれたし、本当にいいチームができました。
イ)1号店が魅力溢れる施設になったわけですが、2年で15店舗と凄いスピードです。採用も順調ですか?
𠮷川)毎日のように面談でした。常に素晴らしい方に来てもらえました。
実は2号店の刈谷校で終わりかとも思っていました。実はこれほど増えたのは刈谷校がきっかけかもしれません。
刈谷校は壁いっぱいにボルタリングウォールをつけた可愛い施設を作りました。その壁に喜び、壁に登る子どもたちの姿を見て、さらに夢を膨らませ、もっと身体を動かせる春日井の施設を作りました。
今の子どもたちはのびのびと遊べる環境が少なく、ましては温暖化の影響で熱中症も心配です。交通や天候や温度帯を気にしないで遊べる遊園地のような有料施設は大型商業施設にはありますが、健常者の中に入れない子どもいるわけじゃないですか。
だから、そんな子どもたちのために春日井校を作りました。
イ)テーマパークのような場所で全天候型で思いっきり遊べますね。子どもたちの笑顔が違います。
𠮷川)子どもにとって本当に自由に遊べる施設を作ってあげたい。それが春日井校です。
見ていただければわかりますが、遊び盛りの子どもたちの興奮度合いが違います。その子どもたちの笑顔に、いつも元気をもらっています。
イ)津島校もそこからインスパイアされたのでしょうか?
𠮷川)3号店の春日井校の立ち上げまでは、僕もしっかり目が届きましたが、店舗が増えてくるとそうはいきません。
そこでその後の店舗は児発管が、「得意なもの」「やりたいこと」ができる施設を作っていくことにしました。
例えば、西尾は「料理」がやりたいことだったので、その活動ができる施設を作ることにしました。大きな調理台がある広いテナントがなかったので、それならばと一軒家にしました。
イ)それで「おやつは手作りです。」と施設でうたわれていたわけですね。
イ)津島校には動物がいると伺いました。
𠮷川)ヤギが12頭いますし、アグー豚は2頭いて、この前赤ちゃんが生まれましたし、名古屋コーチンもアヒルもたくさんいます。
イ)児発管の方の希望ですか?
𠮷川)津島校は企業とのコラボです。
旅行業のご縁から、「一緒に障がい児支援をしていきたい」とお話をいただきました。三河や春日井は遠いのですが、津島市の企業さんには、実は動物園があって、その隣に倉庫がありました。
そこで倉庫をお借りして出来上がったのが津島校です。
建物をお借りするだけでなく、もちろん動物のお世話も一緒に協力して行っています。
そして津島校で育った子どもたちを「将来は就職させてくださいね」「もちろんだよ」と関係性を作っているわけです。
イ)育ってきた環境の中で就職できたらミスマッチもないですね。
𠮷川)そうですね。
それに動物園の運営をコラボさせていただくと、動物好きの児発管が来てくれました。
イ)児発管の方も生き生きと楽しく働けますね。
動物の癒し効果は大きいですし、動物と触れあう機会があることもいいですね。
𠮷川)悩んだら動物を見に行く感じです。癒されます。
動物園がある施設は他にないと思いますし、面白い施設です。
イ)各施設、どこも特徴があり、個性派揃いですね。
𠮷川)お出かけには、三河安城校の子どもたちが津島校に行ったり、春日井校に遊びに行ったと施設を相互利用しています。距離はありますが、交流があるので社員間で話をたくさんして、情報を共有しています。
イ)エリアの違いはあるけど、社員間でも関わりを持たれて、会社の中でも学び合う相乗効果もあるわけですね。
𠮷川)どこの施設に行っても専門職がいますし、連携もできています。
イ)子どもたちのやりたいことと、児発管のやりたかったことを両立して実現されているわけですね。それは働き甲斐にもなりますね。
𠮷川)僕の今の立場は「いかに社員たちを働きやすくするか」「社員が辞めないでずっといてくれるか」を考えていくことです。
社員が定着して、いい笑顔でいれば、子どもたちにいい支援ができるので、いかに社員のモチベーションやスキルを上げていくかが大事になります。
だから社員は「やりたいこと」を児発管に伝え、それを実現していく方針です。
希望を抑えつけるのではなく、だったら「担当を決めて実行しよう」と、私も社員たちの間に入りながら希望を叶えていきます。
イ)𠮷川様は経営者として、施設とどのようなスタンスで関わり合いを持たれていますか?
明時)まずは社員間の連携を支えることが僕の仕事です。基本的にはどこの事業所にも顔を出すようにして、社員とコミュニケーションを取っています。
社員となった人たちに、今までの退職理由を面接で聞いてきたからですね。
例えば児発管やその家族が経営者の場合、何かあっても上司には気を遣って言えないこともあり、それを溜めて苦しくて辞めている事が多かった。
会社には必ず組織図があります。まずは児発管や管理者がいて、古い保育士がいて、そこに新入社員が入ることになるので縦の関係が出来上がります。
もちろん組織の中で上司に提案するなど、縦の関係は事業として必要ですが、だからこそ何でも話せる「心の相談窓口」が必要と感じたので、「私」対「全員」の一直線の組織図も作ったんです。
だから僕には、ダイレクトにみんなからの相談がLINEで入ってきます。
事業所の就業時間が終わるころ、僕は毎日夜の7時から12時まで社員との電話時間です。
だから「社長と社員との距離がこんなに近い会社はない」と言われます。
イ)それは、社員の方に長く働いて最後の職場にしてもらうためですね。
𠮷川)そうです。悩み相談は、プライベートが多いです。やはり私生活があっての仕事です。
朝から明るく仕事をしてもらうためには必要なんです。
イ)指導員が子どもたちにしてあげることを、社長が社員にしてあげているわけですね。
𠮷川)社員に「いかに気持ちを伝えてもらえる関係を築けるかどうか」が僕の大事な仕事です。
イ)社員を引っ張っていくよりも、関わり合いながら「問題はないか」「気持ちよく過ごせているか」を支えることで、社員の心を整えて、結果的に子どもたちに還元する仕組みづくりをされているわけですね。
𠮷川)先生方の力は絶対です。子どもたちは敏感なので先生が暗い顔をしていたら気がつきます。
社員の周りには多くの困りごとを抱えており、悩みやすい性格を持つ方が多いです。したがって、彼らの気持ちを「いかに高めていけるか」が大事なことになります。
会社の理念は「子どもたちに寄り添う」ことですが、経営人としては「社員に寄り添う」ことが大事かなと。そうすると社員たちが本当に頑張ってくれますし、売上にも貢献してくれます。
イ)社員が能動的に目標を持って活躍して自然に売上も上がる。あるべき理想の姿ですね。
𠮷川様がどこの社員の方々ともフレンドリーな関係で話されていることに納得しました。
𠮷川)常に回っていますから。それはこの仕事に限らず大事なことです。
イ)HUGのご利用につながったきっかけは何になりますか?
𠮷川)スタートするときに、児発管に以前の職場でHUGを利用していたと聞いたからです。
慣れていて使いやすいなら「いいんじゃないか」と、一任して決めました。
イ)児発管からの推薦と言うわけですね。どの辺りが良いと聞かれたのでしょうか?
𠮷川)「HUGだけ入れればいい。あとは何も要らない。HUGですべてが終わる」と言っていました。
数人いる児発管の中には、以前の職場では違うシステムの者もいましたが、「これは使いやすい」と今では言っています。
僕の性格上、他の方がいいと意見が上がってくれば、必ず比較して試しますが、そんな意見は一切出てきていません。
イ)ありがとうございます。嬉しいです。
ココトモのこともご存知とお伺いしましたが?
𠮷川)児発管や相談支援専門員さんからココトモさんの話は入ってきます。直接見学に行ったわけではありませんが、いい支援をされているし、地域とも連携している。だから、「目指せココトモ」です。
いいことは真似させていただきます。
イ)そんな恐れ多いことですが、巡り廻ってのご縁でインタビューを引き受けていただき嬉しい限りです。
ココトモのスタッフもこちらを見学させていただき勉強させてもらいました。
𠮷川)ココトモさんの動向は注目していますし、目指していきたいと思っています。
お互いにオープンな関係で、業界全体を盛り上げていきたいですね。
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実際にHUGをご利用いただいている放課後等デイサービス事業者様の感想をご紹介していますので、請求ソフトや管理システムの導入を検討されている方はご参考くださいませ。
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