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2020/06/01
放課後等デイサービス事例インタビュー
大分県別府市にて放課後等デイサービスを運営されている株式会社ユナイテッドサークル様にお話を伺いました。
前職から放課後等デイサービスに携わっている川村社長。「放課後等デイサービス HAMMOCK(ハンモック))」を運営され、今年度は新たに「放課後等デイサービス ADVANCE(アドバンス)」を開所されます。
株式会社ユナイテッドサークル様HP(https://unitedcircle.jp/)
インタビュアー(以下:イ)まず初めに、施設の概要について教えてください。
川村様(以下:川村)別府市で「放課後等デイサービス HAMMOCK(ハンモック)」という施設を運営しております。
前職で16年間福祉に携わる仕事をしていました。そこでは放課後等デイサービスの事業がなかったため、私から会社に働きかけ、放課後等デイサービスの事業を始めました。
一昨年、会社を退職したのをきっかけに自分で放課後等デイサービスの事業を立ち上げようと思い、2019年4月に別府市で「放課後等デイサービス HAMMOCK(ハンモック)」という施設を開所いたしました。そして2020年4月に「放課後等デイサービス ADVANCE(アドバンス)」を開所しました。
HAMMOCK(ハンモック)では、お子さまがご自宅のようにゆっくりと時間を過ごすことをコンセプトにしており、ADVANCE(アドバンス)では、比較的活発に活動するお子さまの支援を目的としています。
イ)施設ごとにコンセプトや目的を変えているんですね。現在開業しているHAMMOCK(ハンモック)では、どのような取り組みがされているのでしょうか?
川村)子どもたちが夢をもてるように、なるべく子どもたちがやりたいことを採用しています。あとは、プログラミングを支援のひとつとしておこなっています。
プログラミングに興味がなくても、自分でやってみるということが社会に出て力になると思っています。
そういった経験は、学校や学童保育ではできないですし、保護者の方が一緒に取り組んでも難しいことがあるので、施設で挑戦してみよう、というかたちですね。
イ)川村様ご自身は、プログラミングに携わったことがあるのでしょうか。
川村)いえ、プログラミングはまったくしたことがありません。
20歳のときから福祉関連の仕事に携わっていて、プログラミングという言葉を知ったのは最近なんです。
ただ、詳しく調べていくうちに、「プログラミングによってたくさんのことができる」ということも知りました。
10年後には存在しない仕事も出てくると言われている現在、移り変わりが激しい情報社会のなかで、子どもたちが取り残されることがないようにしたいという想いがありまして、そのためにも子どもたちがプログラミングの支援というところに至りました。
イ)プログラミングを学んでいるお子さまは、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか?
川村)いまはスクラッチ(PCでできるプログラミングソフト)で雪合戦のゲームや対戦ゲーム、あるいは、フリーゲームをアレンジしたようなゲームを作成しています。
将来、役に立つようなスキルを体験させてあげることが大切だと考えていますので…。
イ)たしかに、実際の社会で役に立つようなスキルは、学校や学童保育などではなかなか支援が難しいですね。
イ)プログラミングをしている時、お子さまは楽しそうに取り組まれていますか?
川村)夢中になってずっとやっていますね。もちろん合間に休憩は挟むんですけど、施設に来るときは、主にプログラミングに関わることを目的にしてます。
イ)プログラミングをしない、ほかのお子さまはどのように過ごされていますか?
川村)ゆたかな発想を持ってほしいので、Artec(アーテック)のブロックを使って、武器やロボットなどを自由に作ってもらっています。
組み立てたり、立体をつくったりするときに、「後ろに支えがあるといいな、ここには飾りが欲しいな」など考える力を育むこともできます。
子どもたち自身がiPadで作りたいものの作り方を調べて、自分で組み立てていくこともありますよ。あと、iPadに導入しているProcreate(プロクリエイト)というお絵かきアプリを使ってイラストを描く子どももいます。
これから開所するADVANCE(アドバンス)では夏にお祭りを開く予定なんですが、たとえば描いたイラストをマグカップやコースターに印刷して売ってみると楽しそうだなとも思っています。自分で作ったものをお客様に買っていただけるという体験ができますし、モノづくりを通して社会という仕組みを理解してもらえるようなかたちをとれるように構想中です。
「お祭りがあるからデザインを考えて、値段設定をして」という一連の流れを楽しみながら体験していくことが理想ですね。
イ)なるほど、楽しみですね。支援や療育ではいろいろなツールを使われているようですが、開業当時からの試みでしょうか?
川村)いえ、付け足し付け足しでやってきています。ただ、今回ADVANCE(アドバンス)を開業する上では、はじめからiPad5台、PC3台、そしてVRを使ったSSTを導入する予定です。VRを使ったSSTは、おそらく大分県ではADVANCE(アドバンス)が初導入になると思います。
イ)VRを使ったSSTは、emou(エモウ)という名前でジョリーグッドさんから提供されているサービスですね。
川村)はい。初めて体験したとき、本当に衝撃で、すぐに導入を決めました。
イ)従業員さんの間で療育を考えて導入していくという話はよく伺うのですが、ツールを使った療育の導入に至ったきっかけはなにかありましたか?
川村)個人的な想いが強いんですけど、いろいろな機器を使えることが当たり前になっていく社会で、「デバイスを使って何をするか」を考えられるようになってほしいんです。
その支援をするために私たちがデバイスのプロフェッショナルになる必要はありません。いま、ネット社会はさまざまな情報で溢れていて、私たちがプロにならなくても、専門家の方が動画投稿サイトなどで紹介してくれているんですよね。
なので、子どもたちには、たくさんの情報から自分に必要なものを調べて見つけるという力をつけてほしいんです。
イ)なるほど。「必要なときに必要な情報を見つけられる力を」ということですね。
川村)そうですね。調べることはもちろん、人に聞くということもそうです。自分で考えて、調べて、聞いてというのは、社会に出ていくうえで一番必要な事だと思います。
イ)療育へのツールの導入は、そういったスキルを身につけることを目的に考えられているんですね。
川村)はい。そして長いスパンでみたときに、効果的じゃないかなと思ったのが今回のVRを使ったSSTです。
これからプログラミングは学校で必須授業になりますし、エクセルなどは使えるのが当たり前になっていきます。
なので、子どもたちが当たり前にデバイスを操作できるということが前提にあるうえで、先のことを考える必要があると思います。
イ)HAMMOCK(ハンモック)のコンセプトは「家のようにゆっくり落ち着いて過ごせること」ですが、とくに利用されているお子さまはどのようなところにくつろぎが感じられていると思いますか?
川村)まず、HAMMOCK(ハンモック)は一軒家を借りて開業しています。施設の利用は、どうしても「外に行く」という感覚が強くなりがちなので、子どもたちリラックスしてもらえるように、「我が家のような感覚で利用してもらえること」を意識しています。
そのために、視覚的にリラックスしてもらったり、施設名にもあるハンモックでゆらゆら楽しんでもらったりしています。
ほかにも、電気を消してサウンドミュージックを流し、せせらぎの動画を流しながらリラックスしてもらうこともありますよ。
とくに重度障がいをもつ子の保護者の方からは、施設を利用するようになってから表情が変わった、家に帰ってからも落ち着いた表情でいることが多いという声をよく伺っております。
イ)それはとても嬉しいですね。施設の利用希望者は、紹介で見える方もいらっしゃいますか?
川村)はい、うちは口コミが生命線ですね。サービスを継続させていただけているのは、保護者の方々からの信頼が特に大きいです。
新しく利用を希望される方には、「○○さんのお母さんから聞いたんですけど」というかたちでお問い合わせをいただく場合もよくあります。
(中編に続く)
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